鉄道員を観た中学生の感想が
「主人公の不幸が描かれていて、仕事に生きた主人公が幽霊となった娘の雪子と最後に会えた良い話だと考えていましたが、よく考えれば、主人公の死の原因は雪子であるかもしれないと思いました。」
だなんていろいろ深堀して聞いてみたい面白い感想を書いてくれたので、私も頑張って感想を書きます。
一言で言うと、誰も幸せになってない映画でした。
誰も救われていない笑
特に、志村けんさんが演じる炭鉱夫と高倉健さん演じる鉄道員の対比が最も印象に残っています。
時代の移り変わりとともに産業が変わり行き場を失った炭鉱夫が感情をあらわに怒りをぶつける一方で、国のために鉄道員として社会を支える使命感を全うしようとしたにも拘わらず仕事を失おうとしている鉄道員の我慢の対比です。
高倉健さんが格好良すぎるので「鉄道員としての生き方」にロマンを感じてしまうのですが、冷静に考えれば嫌な人生です。授業中に滅私奉公という言葉が出てきましたが、まさに、滅私奉公のなれの果てのような人生です。
一方で、志村けん演じる炭鉱夫のように自分の感情を素直に出して暴れることが出来た方が幸せなのではないかと思えてしまいます。人は、自分の状況が「自分の思っている通りではない状況」に陥ったとき、感情の置き所がなくて暴れるものだとは思うのです。暴れ方が犯罪行為でなければ許容できるのではあります。(法律や判例を見ていると犯罪者の救済?といった流れ?があるのも一定の理解は出来ます。)しかし、それはそれで見ていてダサいです。
志村けんか高倉健か。
いずれでもない方向を模索したいと思います。一旦は、感情を吐露してしまうにしても、前を向いて進みたい。
社会に頼りすぎてはいけないのだと思うのです。社会の変化は私達凡人にはどうしようもありません。
自分の周囲の環境が大きく変わり、自分が望む環境ではなくなった時、人はどうするのだろうか?それでも前向きに行動できるような姿勢を身につけて参りたいと個人的に思うのです。
故に、社会に頼りすぎないために、社会への解像度を上げておく必要があるのだろうと思うのです。
AIや映像の時代です。
故に、AIや映像を作成する技術はもてはやされるでしょう。
しかし、10年たてばAIや映像では稼げなくなるのでしょう。炭坑や国鉄が消え去った様にです。故に、次の時代はこういう時代だからこういう職業や技術を身につけるのがコスパ良いと考えて全振りすると信じていたものが崩壊しやすくなるのかなと思うのです。
将来の夢は、具体的職業であっても良いけど、どう生きるのかを考えていた方が、良いんじゃないか?と
中学生や高校生に伝える理由はここにあります。
冒頭の中学生の感想。
鉄道員の生き方に文句はないしカッコいいと思ってしまうのだけれど、雪子(雪女?)は全員を救済しに来てくれるのだろうか?
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映画を観ながら鉄道員が流行った頃に、流行っていた映画を思い出しておりました。藤沢周平の「たそがれ清兵衛」といった鉄道員と内容が被る映画が流行っておりました。
ちょうど2000年代の頃です。
私より少し上の世代で流行っていたと思うのですが、そういった人たちに希望を与える良い映画だったのかとよく分かりました。
2025年を予見しうる良い映画です。
ポスト鉄道員が今の世の中ですよね。